(1-1) 地方一括法(99.7)/第四次分権勧告(97.12)
*
最大の目玉
機関委任事務(都道府県事務の70-80%/市町村事務の30-40%)の廃止と自治事務・法定受託事務(機関委任事務の45%)の発足
* 最大の失敗
税財源面の検討棚上げ一自治事務の少ない予算比率(法定9対自治1)
国・県からの事前指導や補助制度はこれまでと大きく変わらないが、機関委任事務の廃止によって自治体職員は、行政訴訟への対応を含めて結果責任を厳しく問われる。このため、仕事を指導通り正確に早く処理する能力ばかりではなく、施策実施に責任を持って創意工夫できる人材が必要となる。
国による税財源の再配分機能を残しながら(歳入・歳出の自己決定という意味において旧来の意味の「地方自治」ではない!)、地方自治体の創造性・自主性・効率性(いわゆる「ヤル気」)をのばす(住民二一ズを的確かつ迅速に把捉できる)、新しい政府間関係を構築する必要がある。 ←
セブンイレブンのイメージ
(1-1-1) 事務自体の廃止―7法律21項目(農水関連多く、影響大きいもの少なし)
→分権改革後の自治体にとって最大の課題
(1-1-2) 法定受託事務 ←
実際上の基準は予算の多寡
* 法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの
* 条例制定権・規則制定ともに「法令に反しない限り」可能
→問われる法定受託事務に関する自治体の結果責任と上乗せ・横だし条例の是
(1-1-3) 国の関与等の「抜本的な」見直し
* 包括的指揮監督権(現行地方自治法150条/151条)の廃止
* 法定主義の明文化(第245条の2)―法律・政令に基づく関与
* 基本原則の明文化(第245条の3)―必要最小限の
* 関与の整理縮小(第245条の3)―基本類型以外の関与制限
* 手続きルールの創設(第246条―第250条の6)―書面主義・標準処理期間・審査基準
* 係争処理手続きの創設(第250条の7一策252条)―ここまで持ち込まれるのは限界的ケースか。ただし、行政訴訟一般は拡大傾向で、今まで以上に影響大
* 必置規制の見直し
→地方分権や関与の抜本的な見直しを大義名分に、国や県の対応が
一段と不鮮明・不親切になるおそれあり。
(1-1-4)地方議会/「サロン」 「利益誘導」議会からの脱皮
* 分権改革に伴う条例議決案件の増加
* 首長の多選の見直し
* 情報公開条例の対象化
* 住民負担増加型施策の増加
→ 地方議会活性化の必要性
↑
地方議会の権限強化・要件緩和
臨時議会の招集要件(第101条1項)
議員の議案提出要件(第112条2項)
議員の修正動議の発議要件(第115条の2)等
休日・夜間議会開催。
(1-2) 政策法務と留意事項(法制執務は今回の対象外)
← 法令審査・法制執務は政策形成(政策法務)の必要条件。十分条件ではない
(1-2-1) 規定の序列/諭理的・時間的 ←要綱が原点
* 本則
- 総則規定[目的・定義・適用範囲・責務規定等]
- 基本的な規定[実体規定(許可・届出等)・雑則(徴収・検査・除外・権限委任等)]
- 罰則(法令に定めがあるもののほか、二年以下の懲役若しくは禁錮百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は5万円以下の過料/地方自治法第十四条三項/第一次改正)
* 附則 新法旧法適用区分・遡及適用・経過措置等
(1-2-2) 法令と条例
「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる」(憲法第九十二条)
← 国会が唯一の立法機関であるとする41条のいわば例外
* 「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて、第二条第二項の事務(自治事務及ぴ法定受託事務)に関し、条例を制定することができる」(地方白治法第十四条)
+ 法定受託事務=法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理される事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの ↓
旧来の「機関委任事務」が条例制定対象となり、法律・政令によらなければ国の「関与」は認められないことに。
- 法律先占論:法律が制定された以上、その事項については国の法令が先占し、条例委任や条例制定に係る明文上の根拠規定がないかぎり、条例制定できない。
- 最低基準法律論:「地方自治の本旨」に基づき、第一次的責任は地方公共団体が負うことが適切であると認められる場合には、法律による明示の禁止規定がない限り、法令による規制を全国的な規制の最低基準を示すものと解し、より積極的な条例規制を認める。
→ いわゆる「上乗せ(法律より厳しい数値を示した基準を条例で定める)・横だし(法律において規制の対象として取り上げていない特定の項周を、条例によって規制の対象とする)」規制論。
* 「財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。」(憲法第二十九条二項)
→ かつては土地や建物に関する私権の規制は条例で定めることができないとされていたが、今日では、条例で財産権を制限することは可能であるとする説も多数(?)みられる(授権なき行政命令を排除するのが憲法第二十九条二項の趣旨であり、条例による規制を排したものでないと解する)。
* 「統制条例」(旧法十四条;項、四項/都道府県が市町村の行政事務に関し条例で必要な規定を定める)の廃止
→ 都道府県条例と市町村条例も「対等」に
+ 近年においては、市町村条例が存在する場合には、都道府県条例を適用しないという調整が一般的に。また、規制対象によって区分する場合もあり。
(1-2-3) 条例と規則
「普通地方公共団体の長は、法令に反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができる」(地方自治法第十五条)/国は、法律の委任なくして国民の権利義務に関する政令はつくることが許されないが、首長も議員同様に公選される自治体においては、条例から独立した規則を制定できる。
→ 規定事項条例[第二条第二項]と規則[長の権限に属する事務](条例や法律の委任がある場合と、条例や法律の執行に必要な場合1長陽りで処理しうる事務の場合で、その事務処理の基準や方法に関して規則を制定/財務規則・第'次的な部局課以下の組織・職務代理者指定等})
- 旧法の行政事務は必要的条例事項、法定規則事項は規則専管事項、他は共管
- 住民の権利義務は必要的条例事項、旧来の機関委任事務は規則専管事項、他は共管
- 住民の権利義務に関する事務のうち、権力的手段を用いる事項は必要的条例事項、非権力的手段を用いる事項は共管 ←
もっとも有力
* 機関委任事務の廃止に伴い、法律又は条例によって委任がある場合等を除いて、「義務を課し、又は権利を制限する」には条例が必要に!!
(1-2-4)条例と要綱
→宅地開発指導要綱・自然保護要綱・土地取引規制要綱・中商層建築物指導要綱等に基づき、法律や条例に根拠を持たない「半ば半強制的な」行政指導は「慣習法」ないし「生きた法」としての裁判規範性・法的拘束力なし
* 指導要綱に従わない者に対する許認可の留保、ないし行政サービス提供の拒否といった制裁措置は、最高裁でも違法判決。
→ 1993年制定の行政手続法を一つの契機に、要綱行政は廃止もしくは条例化の岐路
* 「行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。
2.行政指導に携わる者は、そあ相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない」(行政手続法第三十二条)/「申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思赤ない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない」(行政手続法第三十三条)
↑
* 「地方公共団体は、・・一行政指導及ぴ届出の手続について、この法律の規定の趣旨にのっとり、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努力しなければならない」(行政手続法第三十人条)
*別紙資料参照のこと。
(2-1) 自治基本条例の背景
「…基本構想は、自治体の執行機関の運営方針を定め、その実現に関する責任を明示するものであるが、市民や議決機関を直接拘束する性格のものではない。従って、市政全般の基本姿勢を明確にし、市民の権利義務、市議会及ぴ行政の
役割・責務などを規定するためには、別に市の憲法ともいうべき『自治基本条例』を定める必要がある。その内容として、市民参繭の具体的な仕組み及び手続、苦情解決の仕組み、市民と議会と執行機関との間の権限に直接かかわる仕組みなどを含むものである。」
↑
(2-1-1) 分権改革 (機関委任事務の廃止と自治事務の創設)
→ 憲法(包括規定)・法律(地方自治法)・既存条例に欠けている必要な具体的規定を基本条例によって補完・体系化る必要性(パブリックコメント・行政手続・行政評価・公募委員・市民活動促進等)
+
(2-1-2) 市民参画の台頭と新たなルールづくりの必要性
(審議会における公募委員・議員委員のあり方/審議会と議会の実質的な審議に係る役割分担/公募委員の任期・兼任の規定)→
今後の焦点として、基本構想の進捗管理及ぴ行政評価のあり方/このままでは、「議会役割の空洞化」や「住民参加の垂れ流し」といった事態を招きかねない。
(2-2) 自治基本条例の要素
←以下のいくつかの要素を統合して基本条例を構成。同じ自治基本条例・まちづくり条例・市民憲章といっても、自治体間格差大で雛型は存在しない。
(2-2-1) 理念・目的・基本原則―これだけで構成するのが旧来(狭義)の憲章・宣言。
* 住民(自治体)の責務規定(訓示規定か、法律違反となりうるか)
* 参加権利(20未満を明示的に対象とするか否か)
* 情報公開(共有)
* 説明責任
* 広域連携と国際交流
* 男女「平等」参画
(2-2-2) 行政手続・組織編成・政策形成―条例化のメリットとデメリットは?
* 不利益救済・応答義務・行政指導の条例化
* 基本構想・総合書十画による個別計圃の制御(分野単位での基本条例制定?)
* 情報公開(代替案・比較情報提供の例示列挙)
* 予算編成に関する規定(多くは慣習で法律・条例による規定なし)
* 行政評価(目標内容・評価基準を明示・規定したのがCitizen's Charter(UK))
* オンブズパーソン
(2-2-3) 住民参画
条例制定等に係る住民参画の保障規定/公募委員に関する規定(義務(努力)・任期・兼任)←「原案策定段階における『参画』」と「パブリックコメントとしての『参加』」を峻別し、r参加」を確保すると同時に、r参圃」を促進する必要あり。
* まちづくり条例的要素(住民協議会・まちづくり協定・まちづくり専門家派遣)とNPO条例的要素(公益市民活動の尊重・支援規定)を含むものあり
(2-2-4) 住民投票―最大の焦点の一つ/具体的な取り扱いは別条例委任も
↑
「住民投票の結果の尊重」
「投票率に基づく住民投票結果の公開決定」
「議決後に住民投票による過半数」
「住民投票の前による結果取り扱いの決定」
「『市町村の合併の特例に関する法律』における住民投票規定」
↑
@対象を制限列挙すべきか
A住民のイニシアティブか、首長・議会の発議か?
B成立要件と法的評価
参考文献
* 辻琢也「第五章自己決定権の拡充と首長・議会の責任」「第六章分権改革と仕事の再編』『地方分権推進と自治体職員』/大森弥他編著/1998年/ぎょうせい
* 辻琢也「分権型社会におけるまちづくり事例研究/住民合意形成の秘訣と展望」/瀧峠雅介他共著/『地方財務』1999年5-12月号/ぎょうせい
* 辻琢也他薯「自治体行政学研究/変革期の自治体人事・組織政策」『地方財務』/2001年1―月号/ぎょうせい
|